ゆずソフトさん作「喫茶ステラと死神の蝶」の感想になります。
「喫茶ステラと死神の蝶」は、ゆずソフトから2019年に発売されたエロゲです。
死神の少女や可愛いヒロインたちと共に、喫茶店を盛り上げていくストーリーですね。
ただ、お店経営よりもヒロインとのイチャラブがメインですので、ヒロインの可愛さが魅力の作品と言えるでしょう。
※ネタバレ全開ですのでご注意ください。
シナリオの感想
共通パート
OPまで進めました。
蝶が魂の残滓だとかよくわからない部分もありますが、
なんにせよ昂晴をそのままにしておくと、危険視した神に存在を抹消される恐れがあるし、
死神である栞那とミカドも蝶を集めないといけないから、昂晴に協力してほしいと。
……昂晴やばくないですか? 世界を改変する力持ってるとか半端ないですね。
あと、ナツメちゃん可愛い(
ここから希と愛衣ちゃんをスタッフに勧誘して喫茶店オープン! ってところまでが共通なのでしょうか?
とりあえず進めていきたいと思います。
で、その先はオープンさせてお医者さんの父親と結菜ちゃんの問題を解決させて、
愛衣と希のために勉強をしてテストを乗り切ります。
それが終わると、昂晴が「彼女作りたいけどどうしようかなー」って思い始めるところで共通は終了です。
まあなんというか普通に面白かったです。
酔ったナツメはどちゃくそ可愛かったですね! あと、栞那のコーヒー豆乳首はめっちゃ笑いましたw
さてそれでは個別√やっていきたいと思います。
まずは希から!
墨染希√
EDずるくない!?
あれは良すぎますよ! 赤磐様ずっと見守ってくれてるやん! やばいやばいやばい!!
……ちょっとテンションが上がりすぎました、申し訳ない。
シナリオは途中ご都合主義が酷くて若干萎えたんですけど、ラストで全部持っていかれました。
いやー最高でしたほんと。母娘の絆って尊いですね。
ただ、細かい部分は気になります。
鈴落ちてきたり車突っ込んできたりした場面は見ていただいたらわかる通り、明らかに希を狙っている。
なのに「あれは昂晴が狙われていたんだなー(適当)」みたいな感じで畳んできたのは、かなり無理やり感がある。
あと、なんでしょう、会話のテンポが悪いときがありましたね。
ふざけなくていいところでふざけたりして、「いいから早く」って思ってしまった場面がちらほらありました。
ちなみにこの√のライターなんですけど、おそらく瀬尾順さんだと思います。
おっさんにしかわからないネタとか、微妙にスベッてる地の文とか、特徴がそこかしこに出ています。
千恋*万花でも思いましたけど……やっぱり、この人の文章はあまり好きじゃないです。話自体は良かったんですけどねー。
他にもチラホラ不満点はありますが、書き連ねると結構長くなりそうなのでこの辺りにしておきます。
以下は私の展開予想メモです。
希に降りかかる災厄は神の仕業?
実は昂晴の子を授かっており、昂晴の子孫を残されたくないがために、希を殺そうとしている・・・とか?
もしくは希が赤磐様の子孫であり、子孫が神に殺されるのを見過ごせないとか。
それを阻止するために希に取りつき、鈴の落下や車から、赤磐様が守っていた。
「赤磐様の子が転生して希になった」っていうのが読み切れなくて悔しい。ナツメの「転生するんじゃないの?」に私もハッとしてしまったw
結構いい線いってたんですけどねー。
四季ナツメ√
付き合うまでの過程がものすごく良かった!
恋愛の押し引きが上手に丁寧に描かれていて、ナツメの反応が良い意味で気になってしまった。
屋台の場面はチャイナ服が素晴らしい。非常に眼福でした。
ただ、実際に販売するときに立ち絵のみなのはややもったいない! ここはできればCGで見たかったです。
タコパの場面も面白かったですねー。
変なタコ焼きで自爆するナツメがめっちゃ可愛かった。まさに因果応報ですねw
そして重要な初日の出の場面。
ここを契機に二人の関係がガラっと変化しましたね。
まあナツメのキスが全ての原因なんですけども、ああいう自然な流れでキスするのすごく良いですよね。
ロマンチックといいますか。
思わず「おおお・・・」って口に出しちゃいましたw
その後はナツメの心残りとか不安解消パートって感じですね。
入院してた頃の友達を呼んで、実はみんな同じ気持ちを抱いていたことがわかったり。
両親と語り合って、ナツメのせいで喫茶を諦めたわけではないことがきちんと説明され、
ちゃんと愛されていたことの確認もなされたりして。
特に変なところもなく、全て丸く収まった感じで。
悪く言えば無難すぎた感じはありましたが、
まあこれで良かったんじゃないかと思います。
ゆずソフトさんの書くものは基本的に優しい世界なので、ね。
ちなみにライターは、天宮りつさんと予想。いつものゆずソフトシナリオって感じがしたので(
ナツメの悩みちょっとしょぼくないかとか、
ナツメってかなり面倒くさい女だなとか思ったりもしましたが、可愛かったので許します!
容姿抜群なら多少の面倒くささも大目に見てあげられるんだよ!
現実には大した容姿でもないくせにめんどくさい女も多いけどね!(おい
以上、面食い野郎の戯言でした。
汐山涼音√
問題解決して終了と、かなり淡白な√でした。
サブヒロインなのでシナリオにはあまり期待していませんでしたが、それにしても薄い、薄すぎる。
ちょっと押し倒されただけで惚れる涼音さん、めちゃくちゃチョロいです。
昂晴も気持ち悪いぐらいに涼音を肯定しますし、完全にやる気がない√。
前作の千咲√の方がまだマシでしたね。尺も短いので特に語ることがありません。
火打谷愛衣√
シナリオは大筋は良かったんじゃないかと思います、
ただ、荒削りというか、気になる部分が多かったですね。
一つ一つ触れていきます。
・部活の友人が愛衣頼りすぎる。
おまじないかけなかったから批難するとか、本当ありえない。
スポーツやってたらスランプなんて絶対ぶち当たるものであって、その克服を他人に頼ってる時点でスポーツ向いてない。さっさと止めるべき。
「被害者面してたのは私」うん、そうだね。愛衣を追い込んだのは間違いなく君だよ。もっと反省するべき。
・ミカドの詰めが甘い
大量の蝶を愛衣の中に封じ込めている以上、ふとした拍子に拡散される危険性は常にある。
なのに、なぜそれを予測できなかったのか。何の対策も講じておらず、不用心が過ぎる。
希√では御守り渡したりして、きちんと危険予測できていたのにね。
・愛衣の能力は神の怒りを買ったりしないのか
不思議ですよね。封じた蝶を拡散すればあれだけの影響を及ぼすというのに、特にお咎めがないように見える。
世界改変に比べれば小規模ですけど、危険な存在であることには変わりないですよね。
・結局「虫喰の瞳」ってなんだったの?
最後までわからずじまい。
そもそも神はそういう奇跡を起こせる存在みたいなものを、生み出せなくしたのではないのか。
昂晴同様、例外的存在ってことなんでしょうか?
そういえば最後の方で「死神に協力した瞳の所持者もいた」とか言ってたので、その存在自体は神に許されているのかもしれない。
結論:よくわからない
と、細かい部分が気になった次第です。
あと愛衣以外の女の子たちが、あからさまに愛衣と昂晴をくっつけようとしているのもすごい違和感がありました。
あそこまで露骨にされると困惑する。愛衣が気の毒に思えました。
反面、クライマックスの盛り上がりは良かったです。
CGかっこよかったですし、あとBGM驚きました。
タイトル「瞳の覚醒」ですよ。完全に専用じゃないですか。めっちゃかっこよかったですけど!
とまあそんな感じで、話自体は良かったですけど、細かいところ詰め切れていない感じがしました。
この√のライターはかずきふみさんでしょう。ギャグの書き方が9-nine-と同じなので、間違いないと思います。
シナリオ詰めきれていないのは時間がなかったからなんでしょうか。
割とディテールもしっかり描く人だと思って期待していたので、ちょっぴりがっかりでした。
明月栞那√
前半は「付き合うまでと栞那の死神問題の解決」に、
後半は「高嶺一家の掘り下げ」及び「幸せの形」に焦点が当たっていたのかなと思います。
前半は特に文句もなく、普通に面白い。
スマホ一緒に買いに行って、みんなで焼肉食べて、遊園地で遊びまわる。
言うことないぐらい満喫してますね。見ててとても楽しかったです。
そこから先はシリアスパートへ。
「消えてしまう自分と関係を持ってしまうと、昂晴を傷つけてしまうんじゃないか」
この栞那の葛藤が見てて苦しくなると同時に切ないです。
大切な人と一つになりたい気持ちは同じなのに、
特殊な身の上ゆえ、思うようにいかないもどかしさや苦しさなどがありました。
それらの葛藤が繊細に描かれていたと思います。
そして栞那は蝶になり、永遠にお別れかと思いきや昂晴が主人公パワーで人間として復活させる。
復活という言い方は語弊があるかもしれませんけど、まあ面倒くさいんでこれで(おい
栞那復活のメカニズムは理屈はわかりますけど、さすがに昂晴が超人すぎるというか。
世界を改変する、
意識だけ過去に飛ぶ(周りも巻き込む)、
蝶となった恋人(元死神)を生身の人間として現世に復活させる。
・・・やろうと思ったらなんでもできそうな勢いですね。
「蝶は人の魂で、魂って転生するものだから、蝶となった栞那が人間として現世に現れたのは『転生した』と言えなくもない。
その手助けをしたともいえる今回の件は、神も許してくれるんじゃないか」
的なことをミカドが説明してくれますけど、うーんちょっと無理があるような。
まあ細かい部分を突きたいわけではなくて、結局『昂晴の力に頼ってしまった展開』だったのはちょっと残念だったかなーって。
どう乗り越えるのかワクワクしてたところもあったので。あー結局かー、みたいな。
昂晴が「納得できん。神に直談判する!」とか言い出したら、結構面白そうな気がしたんですけどw
中盤は昂晴のお父さんと話するまで、栞那との日常を描く。
ここは本当に日常を描いているだけなので正直退屈でした。
先に何があるのかわからない状態でこういう描き方をされると、間延びしているように感じられてあまりよろしくないです。
後半は昂晴のお父さんと向き合ってお話。
今まで断片的に語られていた高嶺一家の事情が、ここにきて全て明かされます。
ここはなかなか面白かったです。夢中で読み進めてしまいました。
母親があんな性格だったのはかなり意外でしたね。
父親が振り回していたのかと思いきや、実際は逆だったという。
というかこの作品病院での出会い多くない? 新たな出会いの場となりつつあるのかもしれない。ちょっと病院行ってくる(
冗談はさておき、父は間違いなく母を愛していて、
母も言動は素直ではありませんが、ちゃんと父を愛していることが見て取れる。
両親は不仲ではなく、生まれてきた昂晴はちゃんと愛情を注がれて育っていったんだということが明かされます。
何度転生しても幸せを得られなかった昂晴ですが、ここでようやく幸せを得ることができたんだということを示してくれましたね。
この『幸せ』という単語は√後半に頻出します。
「幸せを得られなかった魂である蝶」
「何度転生しても幸せを得られない昂晴」
「たくさんの人の笑顔のために作られた喫茶ステラ」
などから読み取るに、『幸せ』が本作のテーマであることはほぼ確実だと思われます。
親の愛を確かめることはできた。だがその後は? 自分の人生の幸せを得るためにはどうすればいいのか?
その辺りを丁寧に描いてきたのがエピローグですよね。
「幸せは二人で一緒に、一つ一つ積み上げていくものだ」
栞那のこの言葉通り一つ一つ、思い出アルバムに一ページずつ記録していくように丁寧に描かれています。
二人の幸せがいつまでも続いていくことを願いたい。そんな気持ちにさせられた、素晴らしい√でありました。
主人公“高嶺昂晴”の感想
強大な魂の力で世界を改変し、己の死をなかったことにするやばいやつ。
そのやばすぎる能力ゆえに神様に目を付けられ、喫茶ステラで働いて世の中に貢献することを強いられてしまいます。
死にたくないって強く願ったとき、
「童貞のままなんて嫌だ。女の子とイチャイチャしたい!」
とか思っちゃうの、自分に素直で非常に好感が持てた。
それじゃあ死んでも死にきれないですよねw
性格はなんだろう、序盤は正直陰キャと言われても仕方ないぐらいのコミュ障ぶりを発揮します。
女の子と話すときにドモるのはアレですが、碌に話したことないとそうなっちゃうのは正直わかる。
ただ色んな子と関わっていくうちにしっかり成長していくので、そこのところは見てて安心できましたね。
「俺は栞那のことが好きだー!!」とか叫んじゃうぐらいにはね、成長します。
・・・あー甘酸っぺえ、甘酸っぺえねえなーおい!
総評
事故で死んで生き返った昂晴が、喫茶ステラで働く中で様々な女の子と交流を持っていく本作。
メインである『喫茶ステラ』の雰囲気が素晴らしいですね。
お客さんの笑顔のために作られたコンセプト通り、和やかな雰囲気に包まれた良いお店だったと思います。
可愛らしいユニフォームを着こなすヒロインたちの笑顔が、とても印象的でした。
シナリオに関してはいつものゆずソフトといった感じで、可もなく不可もなくといったところ。
しかし、センターである栞那のシナリオは力が入っており、
主人公である昂晴と高嶺一家が詳しく掘り下げられたのはポイント高かったですね。
一方、キャラに関してはやや弱いかもしれませんね。
「めちゃくちゃ可愛い、やべえ!」って思うヒロインが正直いなかったです。
これは好みの問題もあるでしょうが、
少なくとも私にとってはストライクゾーンに入るキャラがいなかったので、ここのところはやや残念でした。
・・・前作のあやせと七海が強すぎたんや(
ただ、完成度の高い作品であることには違いありません。
使いやすい完成されたシステムや、ヒロイン一人一人異なる凝ったED等、
ゆずソフトさんの丁寧な仕事っぷりは今作も十分に発揮されております。
個人的にタイトル画面の変更を入れてくれたのは大きいですね。
こういうのすごく好きなので、一人クリアしたあとに見たときは感動しました。
「ついにやってくれたか!」とねw
タイトル画面はオールクリア(全ヒロインの√とアフター踏破)で最後の一枚が解放されるので、まだの人は是非見てみてください。
「たまには喫茶店にも足を運んでみるか」と思わせてくれた、非常に楽しい作品でした。
気が早いですが、次の作品も期待して待っております!
点数
シナリオ 16
(栞那√とナツメ√の前半が良かったです)
キャラ 17
(栞那、ナツメが好きですね)
音楽 17
(音楽はそこそこ。キャラのテーマはちょっと弱かった気がします)
システム及び演出 20
(これは文句の付け所がない。これまでで完成されたかと思いきや、システム音声を個別でオンオフできたり、タイトル画面の演出追加など、未だ進化し続けている。全ADVがこのシステムになってくれればいいのにと思うぐらい、凄まじく機能的かつ使いやすい。まさに完璧なシステム)
全体の完成度 18
(高いです。かなりのレベルですね。
ただキャラとキャラテーマの弱さなどを鑑みてこの点数に)
合計88点です(100点満点中。各項目は20点満点)
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