SAGA PLANETSさん作「AMBITIOUS MISSION」の感想になります。
「AMBITIOUS MISSION」は、SAGA PLANETSから2022年に発売されたエロゲです。
公式の略称は「アンミツ」ですね。
夜空を駆ける怪盗たちが、沙幌に眠る真実を暴くストーリーとなっており、
エッチな怪盗服のかぐやが下半身にダイレクトアタックしてくる作品です。
※ネタバレ全開ですので、ご注意ください。
「AMBITIOUS MISSION」のネタバレ無しレビューはこちらのサイトに掲載しております。
シナリオの感想
プロローグ
プロローグの構成としては、
- 主人公の御影が怪盗部に入部する前半
- アンビシャスやアイヌの宝などの謎が散りばめられる中盤
- 周辺家系の歴史や弥栄の入部、アイヌの宝の謎が明かされる後半
といった感じで、かなりボリュームのあるプロローグとなっていました。
終わるまで11時間40分程度かかっているので、ぶっちゃけ共通パートですねw
まあ私はボイスを全て聴いているので、飛ばす方はもっと早く終わるかと思います。
率直な感想としては、なかなか面白かったです。
序盤は現実世界で怪盗という作品の雰囲気についていけないところもあったんですが、
シャルが走り回りだした辺りで吹っ切れた感があって、そこからはかなり楽しめました。
一番笑ったシーンはシャルが走り回るところで、
一番良かったシーンはみんなの集合CGが出るシーンですね。
特に後者は演出の妙が光っていて、見せ方が上手でした。
めちゃくちゃ謎が多いシナリオなので、先が楽しみで仕方ないですね。
アンビシャスを集めるとどうなるのか。
アイヌの子守歌とお宝の真相は。
そしてこの作品に隠されている『真実』とは。
どのような解答を見せてくれるのか。
非常に期待しています!
石川弥栄√
根津院に現れたクマや迷惑な自然保護団体を解体に追い込み、
根が引っ込み思案な弥栄に自信を付けさせるお話でした。
話の面白さとしてはそれなりといったところでしょうか。
特別読み応えのある話ではなく、
アンビシャスなどの本筋からも外れているので箸休め的な√となっています。
良かったシーンは「蜜子さんとクマの戦闘シーン」ですね。
マキリでクマを一瞬で倒す蜜子さんかっこよかったです。
戦闘服姿で出てくるCGも意外性があって面白かった。
気になる点としては、弥栄が自分に自信を付ける過程が少し弱いと感じました。
テレビ塔の一件で急に蛇遣いを5人相手に決めるとか無理やりですし、
クッキーの件も終盤は全く絡まず宙ぶらりんな感じで終わったので、
この辺りはもっと詰めて描けたんじゃないかと思います。
石川家の厳しい修行の日々とかも教えてほしかったですね。
弥栄が石川家で過ごした過去や秘伝の技などをもっと描いてほしかった。
あと、プロローグから話が全く繋がっていない点も気になりました。
ブルズアイ奪取の一件に全く触れられずに進んでいくので、
「結局あれどうなったの?」という疑問が消えないまま話が進んでいくので、ここはマイナスでしたね。
総じて面白いは面白いですが、色々薄味な√といったところでしょうか。
ヒロインの弥栄は可愛くて魅力的でしたけど、
もう少し幼少期の掘り下げなどを入れると、もっと可愛く描けたんじゃないかなと思います。
ちなみにクリア後に解放される要素がありますが、完全にネタでしたw
蜜子さんとエッチなことができるようになります。
エロさだけで言えば弥栄よりエロかったかもw
その後のシーンの会話のやり取りも微妙に変わっているので、
プレイする方はそこも見逃さないようにしましょう。面白いですので。
本郷虹夢√
虹夢の香水宣伝問題と南句おじさんの宝石問題を絡ませて上手に解決するお話でした。
二つの話が一つの結末に収束する構成が巧みで、虹夢のあの写真を見た時に思わず「あ~!」と声を上げてしまいましたね。
「こういう解決法なのか!」と感嘆しました。素晴らしかったです。
ラストの演出も非常にグッド。
ビルの看板広告を2回登場させることで対比を狙った上手な演出。
虹夢の華やかさと明るさが押し出された素晴らしい看板広告で、ハートとため息を盗まれてしまいました。
一方、気になる点としては南句宝石商の心変わりでしょうか。
50年宝石に費やしてきた人の心は、根津与吉のあの程度の説得では到底届かないと思います。
宝石の輝きに何よりも価値を見出していた人が、急にお金に鞍替えするというのは変な話で、
もう少し説得力のある理由がほしかったですね。
一応霊元から南句の心変わりに関してフォローするような発言が見受けられましたが、
この発言は正直取って付けたような印象を受けたので、納得までには至りませんでした。
とはいっても気になる点はそれぐらいなので、手堅くまとまったシナリオだったんじゃないかなと。
「世界は数字に支配されている」という虹夢√の主題は、少し考えさせられました。
南句おじさんが宝石の魅力を思い出したように、
自分の手の中にある大切なものを忘れないように、日々を生きていきたいですね。
おまけは相変わらずネタでしたねw
カリス先生とのエッチが見られる貴重なシーンとなっています。
有瀬かぐや√
かぐやは12のアンビシャスを集めて姉の救済を願うも、
その手の中にあるものの大切さに気付いて、元の世界に帰ってくるお話でした。
いやー面白かったですね。
序盤から中盤にかけてのパートはかぐやの弱点が露になり、
ギャップでどんどん可愛く見えてくるのがとても良きでした。
ナックで楽しそうにシャカシャカするかぐや可愛かったですw
後半のアンビシャス完成の場面はめちゃくちゃ引き込まれました。
まさかの時間遡行から別の世界へと転移してしまうかぐや。
元の世界で過ごしてきた仲間との日常がかけがえのないものであり、
そのことに気付かされる、がらんどうな部室に一人佇むかぐやのシーンは涙を誘われましたね。
元の世界に戻ってきたときの、あてなの言葉が身に染みて理解できるのもグッド。
「その手の中にあるもの=自分の人生や記憶」と解釈でき、
それを手放すことが何を意味するかをこれ以上なく示していましたね。
思わず唸らされた場面でした。
ただ一つ惜しいのは、かぐやの心情描写が足りなかった点。
自分の人生や記憶が別のものに置き換えられそうになったかぐやの悲しみ、
彼女が感じた孤独や寂しさを密に描いてくれれば、もっと感情移入できるシーンになっていたと思います。
かぐやが別の世界に飛んだことを受け入れるのが早く、
もっと狼狽えたり否定する気持ちが前に出てきてもいいんじゃないかと思いました。
まあかぐやは聡明なので、状況を素早く理解してしまったということなのかもしれませんけども。
あと元の世界に帰還するのも割と早いので、そこまでの尺をもう少し取ってもよかったかな。
ちなみにクリア後のおまけシーンは……
(そうはならんやろ!?)
かぐやとあてなさんのえちちなシーンが楽しめます。
相変わらず導入はネタですが、浮気を疑ってキレるかぐやが面白かったですw
さて、お次はグランドの位置付けとなるあてなの√ですね。
タイトル画面に専用項目が出てくると思ってたんですが、
しれっとSTARTのところに追加されてましたw
タイトル画面には二項目ぐらい入りそうな空白があるんですけどね。
ここに何が入るのか気になります。
シナリオに関しては、
残っている謎がアイヌの子守歌とファントムに関してぐらいしかない気がしますが、
ここから更に引き込むストーリーを見せてくれるかと思うと、かなり期待が膨らみます。
過去作を見てもサガプラのグランドルートは外れがなかった印象なので、
非常に楽しみですね!
有瀬あてな√
御影の負傷からアレクレピオスの第二の力の使用に始まり、
Fコインの管理システムを悪用されて世界が混乱に陥りかけるも、
御影たち怪盗は華麗に1千兆円を盗み出し、沙幌と世界の平和を守る話でした。
なかなか盛り沢山な内容でしたね!
アレクレピオスの力の秘密やあてなとファントムの邂逅の謎、
怪盗ファントムの正体、根津与吉の意外な裏の顔、金恋ファンへの大サービスなど、
グランドルートとして最高の盛り上がりを見せたルートでありました。
あてながどうしてグランドヒロインなのかが疑問ではありましたが、
「怪盗ファントムの正体は御影である」ことが明かされたときに大きな納得を得られました。
また、空白の14代目石川五右衛門に意外な人物が収まっていたり、
幌子の行動の疑問も解消されるなど、
様々な謎の解決が描かれるグランドルートとして、相応しい出来であったかと思います。
ところどころ力押しに感じられる部分もあったり、
色々盛り込んでいるので展開が駆け足気味だったりしますが、
明かされる『真実』が意外でしっかり引き込まれる出来になっていたので、そこまで取り上げるほどではないですね。
細かな部分の整合性よりも、盛り上がりを重視したシナリオ構成といった印象です。
御影が過去に戻ったとき、あてなの言葉を思い出すと同時に自らが御影であることを思い出すシーンは、
「自分の手の中にあるものを忘れるな」という、
本作のテーマをしっかり示した素晴らしいシーンでした。
テキストの名前が「沙取」から「御影」に変わる瞬間は、めちゃくちゃエモいです。
今まで生きてきた自分を構成する、自分の手の中にあるもの、
「肉体・人生・記憶・人との繋がり」などの大切さ、尊さを説いたシナリオでしたね。
非常に面白かったです。対戦ありがとうございました!
主人公“根津御影”の感想
根津院に預けられた孤児で、
かぐやに与えられた恩に報いるために、怪盗の世界に足を踏み入れます。
根津沙雪を救うために過去に戻った怪盗ファントムが、
一切の記憶を無くして肉体も退行した結果、
根津御影として第二の人生を歩むことになりました。
運動能力の高さや怪盗としての素質があったのはそこから来ていたというわけですね。
まさかすぎる真実にかなり驚かされました。
ただ、主人公らしい大活躍が見られなかったのは残念なところ。
ブレインであるかぐやの指示をこなす実働担当なので命令で動いており、
何か問題が生じても基本的にかぐやの指示待ちであるなど、
主体的にガンガン動いていく主人公ではありません。
グランドルートにおいても、
明かされる真実に飲まれる形で行動していって、結果的に自分の正体を知るという流れも惜しい。
元が伝説と呼ばれた怪盗ファントムであったなら、
「自分が怪盗ファントムであったことに自力で辿り着く」ぐらいの、
見せ場があっても良いんじゃないかと思いました。
そうすることで主人公として、周りの人間との明確な違いをもっと打ち出せたのではないかと。
幌子が御影のことを気にかけているところとか、
ファントムの日記の筆跡に見覚えを感じたりとか、
そういったところから徐々に気付いていって……みたいな。
まあ、シナリオの描き方は大分苦労しそうですけどもw
かっこいい主人公が好きな私としては、
もう少し活躍させてもいいんじゃないかなと思いましたね。
総評
「AMBITIOUS MISSION」は怪盗が現実の札幌をベースとした街「沙幌」に眠る、
隠された真実を暴くストーリーとなっていました。
12のアンビシャスを集めた先で起こる衝撃の展開と、
明かされる意外な真実からは目を離せませんでしたね。
仮想通貨に焦点が当たるシナリオ、投資の授業が組み込まれた学園、
昨今のから揚げ屋さんブームの裏側など、しっかりと同時代性を意識していたのも評価点。
特に根津与吉のお金の話は真理を突いていて現実に即しているので、
大学生といった若い人にはぜひ聞いてほしい内容だと思いました。
また、予告状が回転して画面に大きく表示される演出や、
セリフ途中でころころ変わる話者の表情、
状況に応じて強弱をつけたエッチシーンのバックボイスなど、
細かな演出にも凝った作りとなっていましたね。
一方、肝心の怪盗要素はファンタジー色強めなカジュアルな印象でした。
大幅な跳躍力を生み出すレッグパーツや、
空を飛び回るグライダーといったアイテムは一国の超技術に頼っていますし、
敵役となる警察は完全に無能で、名探偵も半分ギャグみたいな存在です。
この辺りを真面目な要素として期待すると肩透かしを食らうので、
軽めに楽しむ感じで流しておくと良いですね。
本作は実在する都市の札幌が舞台なので(名前は沙幌に変更されています)、
「割と現実寄りな世界なのかな?」と思う方もいるかもしれませんが、
後半でファンタジー要素が出てくるので、
本作はファンタジー作品として楽しみましょう。
基本ファンタジーな作風のサガプラに、
リアル感ある世界や描写を期待する方は少数かと思いますが、
これからプレイする方の参考になれば幸いです。
本作「AMBITIOUS MISSION」は、
「金色ラブリッチェ」のような心に響くメッセージや、
強い感動を得られる作品ではありませんが、
読み手を惹きつける意外な事実や、
エンタメ性を高めたシナリオが魅力的な作品です。
エロゲ初心者の方や、
カジュアルな怪盗要素を楽しみたい方、
お金の話に興味がある方におすすめしたい作品ですね。
推奨攻略順は「(弥栄→虹夢)→かぐや→あてな」です。
()内はどちらが先でも良いですね。
かぐや→あてなと間を置かずにすると、
アレクレピオスに関してスムーズに理解できるので、おすすめです。
以下は余談です。
本作、微妙に続編とかFDが出せそうな終わり方してますが、出るのでしょうか?
シャルとカリスさんが新規ヒロインで、他のヒロインの後日談も入れてって感じのFDが出そうな気が。
本編がこのクオリティだと人気も出そうです。
サガプラさん、FD出すなら買いますが、できればミドルプライスあたりに抑えていただけると嬉しいです。
金恋GTのときに思ったんですけど、あれでフルプラはちと高いので。
検討、よろしくお願いします。
点数
シナリオ 17
(かぐや√とグランド√が特に面白かったです)
キャラ 18
(かぐやあてな姉妹はめちゃくちゃ可愛かったですね)
音楽 15
(無難にまとまっています。予告状を出す時のBGMが好きでした)
システム及び演出 19
(非常に優秀。細かな部分まで凝っていました。
ただグランド√はできればタイトル画面に追加してほしかったです)
全体の完成度 18
(完成度は高いですね。破綻なく綺麗にまとまっているかと)
合計87点です(100点満点中。各項目は20点満点)
商品リンク
おまけ
マスターアップイラスト
4月1日に公開された怪盗リリ
「エッッッッッッッッッッッッッッッ!!!」
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