Liaisonさん作『天瀬島は色恋ざかり STARRY GARDEN』の感想になります。
『天瀬島は色恋ざかり STARRY GARDEN』は2023年12月にLiaisonさんから発売されたエロゲです。
略称は「あまこい」ですね。
本作は主人公“天瀬遥”が隔絶された島のお嬢様学園に男性サンプルとして連れてこられ、
世間知らずの箱入り娘であるヒロインたちに男性の免疫を付けさせるために関わる羽目になる……という物語です。
※ネタバレ全開ですのでご注意ください。
「天瀬島は色恋ざかり STARRY GARDEN」のネタバレ無しレビューはこちらのサイトに掲載しております。
『天瀬島は色恋ざかり STARRY GARDEN』の公式サイトはこちら。
シナリオの感想
共通パート
共通パート評価:B
「至って普通の共通」という印象でした。
シナリオは主人公とヒロインたちが徐々に知り合って、みんなの集まる場所ができて、
みんなでひとつのイベントをこなす……といういつものやつですね。
途中で演劇を始めたのは少し意外でしたが、必ずしも演劇である必要はなかったような気もします。
推測ですが、千景が前の学校で演劇やってたっぽい?のでその関係かもしれません。
というか、OPで千景が消えてたのがめっちゃ気になるんですけどw
少しだけあるというファンタジー要素はこれですかね。タイトル画面の「とある世界線の物語」で回収されるんでしょうか?
なんか背景が地味に深そうなので、千景√は結構楽しみですね。
(普通に可愛いですしね)
あと、本作は姫瑠も可愛いです。
紅茶の茶葉の場所がわからずにお湯でもてなしてしまうポンコツなところとか、
褒められたら素直に喜ぶチョロいところとか、見ていて癒されますね。
雰囲気がほわーっとしているので和みがあり、純粋に可愛い。
最近はこういうゆるい系のほんわかお嬢様みたいなのあまり見なかった気がするので、
逆に珍しくて良かったです。
まあ、遥の部屋でお小水ぶちまけるやらかしを園花になすりつけるのは最低で、そこは笑いましたけど。
本作はギャグのレベルが高くて、笑える場面が多かったのも評価点ですね。
ギャグ要員としては姫瑠とゆかり先輩が光っていたかなと。
ゆかり先輩は「歩く下ネタ」とも言うべきエロさで、常にエロいこと言ってくるの面白かったです。
逆に気になった点としては描写の薄さですね。
なんか全体的に薄いです。
なかでも後半の演劇の練習と本番披露の場面は特に酷かった印象。
練習風景の描写は簡易的に済まされますし、本番も地の文だけで流してしまうので、「えっ……」ってなりました。
なぜ立ち絵の衣装違いの差分を用意したのに、舞台を披露する本番をちゃんと描かないのか。
ここはシンプルにダメだと思いました。
彼女たちの演劇は普通に見たかったので、結構ガッカリしましたね。
他の描写を薄くしている分本番をがっつり描かないと見せ場が存在しなくなるので、
そういったバランスをもっと意識してほしいなと思いました。
共通最後のビッグイベント、しっかり描いていきましょう。
(衣装は気合が入っていただけに、もったいないですね)
共通の感想はそんな感じで。
星道院姫瑠√
シナリオ評価:B
遥と姫瑠の恋模様よりも、姫瑠と園花の「二人の関係性の変化」に重点が置かれた√といった感じでした。
姫瑠は幼い頃から園花にべったりで依存している状態でしたが、
園花は自分の夢を追いかけることを決心し、島を出て姫瑠と離れることに決めます。
それを切っ掛けに姫瑠は周りに頼りながらも、少しずつ自立していく……というお話ですね。
寂しくて泣いてしまう弱いところもあった姫瑠ですが、
遥に励まされ、みんなに助けてもらうことで少しずつ自分の足で立てるようになっていきます。
園花がいなくなるのは悲しいけれど、今まで尽くしてくれた恩返しをしたい。
園花の幸せのために頑張って乗り越えようとする、そんな姫瑠の優しさには胸を打たれました。
この√はとにかく姫瑠が可愛くて癒されたのが良かったですね。
ポンコツでチョロいところはダメダメですけど応援したくなりますし、
なによりもう立ち絵が素晴らしいので、目の前に立っているだけで可愛いという。
なんか「良い匂いしそうな立ち絵」って感じがしません?
……ずっとエロゲをやっているとこんな感じに表現がキモくなってきますが、
ヒロインを愛でたい気持ちに嘘はないので好きに語らせてもらいますよ!
まあそんな感じで姫瑠が可愛いので、癒し成分は十分補給できました。ありがとうございます。
一方で気になったところも色々ありますね。
まずシナリオですが、全体的に描写が淡白なので物足りなさを感じます。
園花が姫瑠から離れることを決めるシーンはこの√の見所になりえるのですが、
かなりあっさりと決めてそれで終わってしまうので、園花の葛藤はもっと描いてもいいんじゃないかなと思いました。
まあ園花は戻ってくると決めているのであっさりしていたのかもしれないですが、
号泣していた姫瑠を見て辛くなってしまって、それを遥に思わず相談してしまうとか、
そんな園花のネガティブな感情を描いてもよかったと思います。
園花は普通にいい人すぎるので、記号的なキャラっぽさが強いんですよね。
「キャラゲーに変なシリアスは必要ない」という意見もあるかもしれませんが、
私はそういった相応の人間臭さを出していくのも、キャラに愛着を持つという意味では重要だと考えています。
「辛いから思わず言ってしまった」とかって誰でもあるじゃないですか。
そこで共感するプレイヤーもいると思うんですよ。
園花は姫瑠のことが大好きでたまらないわけですが、
そんな大好きな人だからこそ、言えないことっていうのもやっぱりあるわけで。
そこを主人公である遥が上手く聞いてあげて、園花の心の弱い部分をケアしてあげると良かったですよね。
二人の橋渡し的な役割として、遥の立ち位置を明確にすることもできますし、
園花の好感度を上げておくことで、3Pを入れることもできたかもしれませんしね。
……なんで一緒にお風呂入るシーン、日和ったんでしょうね。
男ならそこはいけよ!w
結論としては、園花の心情をもう少し掘り下げてあげると、シナリオの強度も上がったのではないかなと思いました。
(二人の関係性に重きが置かれています)
後は細かい不満点が色々ありますね。
CGのデッサンが微妙に変で姫瑠の身体がおかしく見えるとか、
姫瑠の家の場面では背景が私室のものしかなく、そのまま玄関前のやり取りや料理のシーンを描くので違和感がすごいとか。
背景は本当に深刻な素材不足を感じるので、なんとかしてほしいなと思いました。
玄関前とリビングの背景は最低でも必要だったかなと。
あと、姫瑠の寂しさが爆発して抱いてほしいと迫るシーンでは正常位で、
舞台衣装を着てエッチするシーンが騎乗位なのは「うーん……」って感じでした。
姫瑠が寂しさを紛らわせるために強くエッチを迫っているわけなので、
遥を押し倒して騎乗位で攻めてしまう……みたいな方が流れ的にも自然だったかなと。
「姫瑠が一晩中遥を求めて、遥がそれをたまらず制止する」みたいな感じの方が私は好みですね。
姫瑠の心の弱さをより感じられる気がして、その方がいいんじゃないかなと。
なにより――
女の子に騎乗位でめちゃくちゃ攻められるのって最高じゃないですか(本音)
……姫瑠√の感想はそんな感じで。
姫瑠は可愛くてそこは花丸でしたが、
シナリオは全体的に平坦なので、もう少し起伏を生んでほしいなと思いました。
月城ゆかり√
シナリオ評価:C
ゆかりは原因不明の病?に侵されていて命が短い中で懸命に生きようとするも、
なぜか突然それが治って幸せに生きていけるようになる……というお話でした。
まあ……意味がわからないですねw
姫瑠√でゆかりの体調が悪くなっていた理由はここで明かされましたけど、
ぶっちゃけそれだけなので、中身がないと言わざるを得ないです。
- ゆかりはよくわからないけど早く死んでしまいます。
- ゆかりのそれ治りました。なんで治ったのかはわかりません。
こんなよくわからない設定や展開で何を感じればいいのでしょう……w
まあ「伏線√」かなと思います。
途中でリリヤが意味深なことを言っていたので、彼女の√かグランドで回収されるのでしょう。
後でどのように繋がってくるのかを期待するしかなさそうです。
一応、評価点としてはCGのデキは良かったですね。
姫瑠とはイラスト担当が違うみたいですが、この方はなかなかお上手で良かったです。
(このCGだけロリ化してる感じもありますけど、まあ許容範囲かなと)
一つ惜しかった点としては、
最初の本のエピソードと絡めてゆかりの問題にシフトさせていく導入は良かったのですが、
そこで本とゆかりの問題が切れてしまったのがもったいなく感じました。
本の主人公の女の子は「恋しない」と決めていましたが、
ゆかりは逆に「恋をしてみたい」と考えている女の子です。
「この本の子と私は違う」と言ってまっすぐ遥に想いを告げますが、
私としては、その先で彼女の恋愛観をもう一歩発展させてほしかったなと思いました。
遥のことが好きになってしまって別れが辛くなり、本の女の子の心境がわかるようになってしまった。
やっぱり遥と付き合うべきではなかったのではないか……。
みたいな感じで、ゆかりの後悔や葛藤などを描いていけば、もっと読み応えのあるシナリオになっていたんじゃないかなと。
本の女の子とゆかりを対比させて掘り下げていくことで、
自分の恋に対するスタンス・恋愛観・人生観に答えを見出していく。
そういう感じで描いていくと、ゆかりの心情をもっと深堀りできたのではないかと思いました。
(本の内容とゆかりの心情はもう少し絡ませるべきかなと)
一応、ゆかりは自分の遥に対する好きの気持ちを大事に思っている描写はあります。
「恋は若さゆえの過ちとか言われるけど、私はそうは思わない」と。
自分の恋を大切にしているゆかりの心情が描かれていたのは良かったですが、
その気付きを得る描写が不足していたかなと。「なぜそう思うのか?」という点ですね。
ゆかりの主張を補強するようなエピソードが本編内に組み込まれていれば、
ゆかりが出した答えに説得力が生まれ、ゆかりの心の成長を描くシナリオとしての強度は保てたんじゃないかなと思います。
まあ「遥と出会って毎日が楽しい」とか一応理由はあるにはあるんですけど、
個人的はちょっと弱いというか、あと1歩欲しいといいますか。
やはり冒頭に出してきた本のエピソードとゆかりの心情を絡めることで、彼女の恋に対する姿勢にひとつの答えを出す。
「冒頭に出した本の女の子と自分との違い」
その結論を最後に持ってくることで、物語として綺麗に着地できたのではないかなと思います。
椎葉果歩子√
シナリオ評価:A
島に呪いを振りまく厄介な岩を果歩子と遥が頑張って破壊しようとして途中で力尽きかけるも、
助けに現れたリリヤが石を消し去って呪いを消滅させ、ゆかりの体調もすっかり良くなる……というお話でした。
ゆかり√ではなぜか彼女の体調が理由もなく快復しましたが、
この果歩子√で「それはリリヤのおかげだった」という回答を示してきましたね。
最後のぽつんと咲く白百合と傍で笑顔を浮かべる果歩子のCGが印象に残ります。
(このCGはかなり良いですね)
果歩子はゆかりのために毎日呪いの石を叩き続ける頑張り屋さんであり、
強さと優しさを兼ね備えているものの、ときおり見せる弱さが少し危うげに見えてしまう……という女の子でした。
思わず守ってあげたくなる感じで、庇護欲をそそられましたね。可愛いです。
ゆかりに「抱き枕みたいで抱き心地が良い」と言われていましたが、
公式サイトを見てみると果歩子の身長は141cmだそうです。……確かに抱き心地良さそうですねw
(小柄な女の子……可愛い)
シナリオに関して気になる点は、まあ特になかったかなと。
リリヤが何なのかは気になりますけど、これはまあ彼女の√で明かされると思うので置いておいて。
果歩子√は全体的にゆかり√の解答編という感じがしたので、新たな謎とかはそこまでなかったのかなと。
綺麗にまとまっていたのではないかと思います。
リリヤは最後に花になったような描写をされていますが、彼女は一体何者なんでしょう。
島の守り神とかなんでしょうか。よくわからないですね。
まあ海に溺れて登場してきた最初からしてよくわからない存在でしたが……w
その辺の詳細はリリヤ√に期待すると致しましょう。
残りは千景√とリリヤ√ですが、千景√でまた新たなリリヤの伏線が出てきそうなので、
先に千景√をプレイしたいと思います。
千景がセンターなのでラストにしたかったですが、
果歩子√の最後を見てしまうと、ちょっと怪しい感じもするので。
まあ「とある世界線の物語」がTRUEであれば、どっちを先にしても一緒かもしれないですが。
この判断が間違っていないことを願いつつ、
次は千景√に行きたいと思います。
朱日千景√
シナリオ評価:B
演劇から離れていた千景が遥と仲を深めていくことで自分は演劇が好きであることを再確認し、
仲間たちと演劇を披露することで、諦めていた劇団員になる夢を再び追いかけるようになる……というお話でした。
シナリオの大筋の流れはとても良かったと思います。
「過去のトラウマのせいで夢を諦めていたヒロインが主人公や仲間の影響で再起する」というのはベタではありますが、王道的で良いシナリオだったんじゃないかなと。
千景は周りのことを必要以上に気にしてしまい、周囲に求められる姿を演じて嫌われない立ち回りをしていましたが、遥の影響で「自分が好きなもの、やりたいことはなんだろう?」と自己を見つめ直していきます。
みんなとする演劇が好きで、大好きな遥に自分が演じているところを見てほしいと思った千景は、
「好きは自分だ」という結論を導きだし、自分が本当にやりたいことに向かって突き進むように。
ヒロインの成長物語をまっすぐ描いてきた印象で、気持ち良く読み進めることができたように思います。
千景√で個人的に特に良いなと思った点は3つありまして。
1つ目は「遥と千景が特別な友達同士になるまでの過程」ですね。
朝練して学生会室で一緒にご飯を食べる日常を過ごしていく内に徐々に気になる存在になっていき、
気が付けば意識するようになり、さらに過ごしていく内にどんどん想いが溢れてきて抑えきれなくなってしまう……。
という感じで、極めて一般的な恋の過程ではあるんですが、逆にそれがとても良かったんですよね。
(普通の恋、とても良いぞ)
元々庶民だった千景は遥と感覚が近いので、
普通に仲良くなっていくという一般的な過程が自然に映ったのが大きいですね。
劇的なドラマとかは一切ないんですが、この千景√においてはそれが正解だったなと。
プレイしながら私はうんうん頷いて、以下のように思っておりました。
千景は遥と同じ庶民で感覚が近く、「自然に会話できる女の子」という良いポジションにいました。
傍にいるとホッとする感じの、実家のような安心感を与えてくれてる存在だったようにも思えます。
遥とプレイヤーの心のオアシスとなるような癒しを与えてくれるセンターヒロインであり、
「この子を好きになるのも無理ないよなー」と思える、非常に魅力的な女の子でした。
2つ目は「締め方」ですね。
これは単純に綺麗に締めていたので読後感が良かったです。
夢に向かって進んでいる千景をしっかり描いてくれたのは素直に良き。
(町娘Aみたいな役でしょうか。それでもめちゃめちゃ可愛いですが)
3つ目はシンプルに「千景が可愛い」ということですね。
顔や声が可愛いのはまあ当然として、
遥に徐々に気を許していくところがもうめっちゃ可愛いです。
周りのことを気にしてしまう千景はすぐに一人で抱え込んでしまうんですが、
遥が「俺には迷惑かけていいから」と言ってあげることで、素直に頼ってくれるようになるんですよね。
「可愛い女の子が自分にだけ見せてくれる姿」というのは全男が好きなやつなので、もうたまんないですよ。
(こちらとしても迷惑いっぱいかけられたいんだよな)
千景の可愛いところは他にもいっぱいありますが、
語り出すと際限なく長くなりそうなので、ひとまずはこの辺で。
良かった点としてはそんな感じですが、もちろん気になる点もあります。
大きく2つあって、1つは「千景の過去の曖昧さ」ですね。
「千景は本島にいた頃に演劇をやっていたが、
学園で孤立してしまうような出来事があり、それが軽くトラウマになっている……」
という感じの過去があるわけですが、√を通して千景の過去が具体的に描かれることはありません。
ちょい出しされる断片的な情報から推測するしかないんですよね。
千景の後の言動に大きな影響を与えている過去というのは、文字通り彼女の重要な過去なわけです。
それが明確に描かれないというのは、千景の発言の真意や意図を上手く読み取ることができないということなんですよ。
これはかなり問題だと思いました。
彼女が演劇のことで深刻そうに悩んでいても、「なんか辛そうだけど、過去に何があったの?」と常にそんな疑問が浮かんでしまうんですよね。
「千景の悩みに真摯に向き合うのであれば、まずは彼女自身のことを知らないといけないのでは?」と思うわけですが、
遥はなぜかそこに踏み込まないので非常にモヤモヤしますね。
いや、まず何があったのか訊いてよと。私たちプレイヤーに千景の過去を教えてよと。
何度そう思ったかわからないぐらいです。
本作はキャラゲーなので、キャラクターを深堀りしていくことはとても重要です。
ヒロインの√でそのヒロインの過去をはっきり描かないのは「この子の過去は綿密に考えてはいないんだろうな」と邪推する原因となってしまうので、
次の作品をもしリリースするのであれば、ヒロインの過去はしっかり詰めて設定して、それを作中ではっきりと描いてほしいなと思います。
2つ目は「妥協した演劇描写」ですね。
まず、演劇をやるとなると以下のような描写が必要になってくるわけですが――
- 題材、テーマ
- 脚本の具体的な内容
- 登場人物のセリフ
- 舞台での立ち位置や振る舞い
- 照明、演出、小道具
なんと、本作では上記の要素は一切描かれません。
「え、どういうこと?」と思った方もいるかもしれませんが、本当に何も描かれないんですよ。
みんなで稽古してるんですけど内容が具体的には描かれませんし、
頑張って読み取っても「みんなでセリフ読み合ってるなー」ぐらいしかわかりません。
脚本も「月城先輩が執筆してくれたもの」という情報があるだけで、何をやっているのかわかりません。
裏方は果歩子に任せているみたいで、4~5人でする劇の裏方を彼女一人で担当しています。
これってかなりヤバい作業量だと思うんですけど、特にその辺りに触れられることはありません。
本作の方向性を鑑みると演劇の描写をガチでやるのは違うとは思いますが、
それを考慮しても手抜きが酷いです。
まあ共通ラストのあのシーンで本作の演劇がちゃんとしていないのはわかりますが、
演劇が本格的に絡んでくる千景√においてもそれでゴリ押すというのは、ちょっと通用しないんじゃないかなと。
せめて何をやるかぐらいは示してほしかったですね。演劇は困ったら「ロミオとジュリエット」という必殺技があるので、とりあえずそれで良いかもですよ。
(衣装立ち絵があるのは嬉しいですけど、これでリソースが尽きた説もありますね……w)
後の気になったところは細かい部分で2点ありますが……感想が長くなってきているので箇条書きにしておきます。
・CGのチョイスが雑
学生会室に入ったときの千景のCGは正直いらなかったかなーと。
私服でデートしてる場面に入れた方が普通に良かった気がします。
・飴をアナルに突っ込む
ぶっちゃけ理解不能でした……。
食べ物をお尻に突っ込むって結構多くの方が抵抗あるというか、嫌なんじゃないでしょうか。
千景の飴好き設定はこのシーンのために用意されていたんでしょうか。
もしそうだとしたら、それは個人的にはナシかなと……w
気になった点はそんな感じで。
他にも「遥って呼んでくれないなー」とか「フェラしてくれないなー」とか思ってたんですが、
それは後で解決したのでOKということで。
色々不満も書きましたが、私は結構好きな√でした。
千景が普通に可愛かったので、もっと彼女のことを知りたいと思えましたね。
飴は普通のシーンでもっと出しても良かった感じもします。
笑顔で飴舐めてるCG、見たかったですね。
鈴羽リリヤ√
シナリオ評価:B
リリヤの抱える事情が明かされて一定の解決も見るも、
その代償にリリヤの記憶がなくなってしまう……というお話。
前半の遥とリリヤが恋人になるまでの部分は前座もいいところで、
中盤から後半にかけての種明かしパートがリリヤ√の本体と言えるでしょう。
リリヤの抱える事情には結構驚かされました。
みんなとは過去に仲良くなっていたけど「みんなの記憶を使って石を消したからリリヤのことを覚えていない」という衝撃の事実がサラッと明かされて普通に驚きました。
リリヤの素性や石に関する説明がなされたのは良かったですね。
色々気になっていた点が腑に落ちた感覚でした。
ラストは石を消す代償としてリリヤの記憶がなくなってしまい、
記憶を失う前のリリヤとのやり取りなどを失った後の彼女に聞かせることで、ゆっくりと思いだしてもらう……みたいな感じの締めでした。
まあ前向きな感じで終わっていて読後感は悪くないですが、やっぱり物足りなさは残りますよね。
「もう少し何かできなかったんだろうか」と思ってしまうといいますか。
その辺りを上手く解決したグランド√が「ANOTHER STORY」なんでしょうか。
このリリヤ√の締め方ではモヤッとしてしまうので、そちらで大団円になることを願いたいですね。
リリヤ自身に関しては私は普通……ですかねw
不思議ちゃんは別にタイプではないので(嫌いでもないですが)、特筆するようなこともなく。
あ、エッチシーンで腋コキをしっかり描いてきたのは笑いましたね。
一人だけノースリーブで腋を強調をして性癖持ちを刺激していたので、用意されていて良かったと思います。
(腋フェチにはたまらないシーンとなっておりますよ!)
ちなみに余談ですがこのリリヤ√は他と比べて尺がかなり短く、
わりとすぐに終わってしまった印象がありました。
良い点、気になった点は上で述べた感じなので、細かく挙げるほどのものはないかなと。
とにかく「ANOTHER STORY」でどうなるかですね。おそらくグランドだと思うので。
そちらに注目していきたいと思います。
ANOTHER STORY「とある世界線の物語」
リリヤの意味深な語りから始まるこの√では、
「各ヒロインの個別√にはしこりの残る結末が待っている」という事実が明かされます。
それを聞いた遥はヒロインたちに訪れる暗い未来を避けるために、遥とヒロインたちが全力を尽くして幸せな未来を掴み取っていく……という世界線の物語でした。
「物語に不要なものは描かれてはいけない」「この石に新しい役割を与えてやってくれ」とリリヤが言っていて、
「石は単なる悪い象徴としての舞台装置ではない」「良いものも悪いものも結局はその人の捉えよう」とか、
そういったことを伝えたいんだと思います。
けど、個人的にはこの√に込められた核となるメッセージはやはり「一生懸命やろうぜ!」だと思いましたね。
「何事も一生懸命取り組んでいけば結果は自然と付いてくるし、周りの人の心も良い方向に動いていく。だから全力で頑張ろう!」
これがこの√の主張であり、このゲームが伝えたかったメッセージなのかなと。
非常に前向きで素晴らしい考え方ですよね。
「何かを全力でしなかったり諦めたりする。その理由を他人や、他のもののせいにしてない?」
というリリヤの問いかけは、なかなか刺さるものがありました。
「とある世界線の物語」の主張はそんな感じで主張自体はすごく良かったんですけども、
その描き方に関しては正直気になるところがありました。
まず「個別√にケチを付ける必要はあったんだろうか?」と、そこの疑問は浮かびましたよね。
「言われるほど遥やヒロインたちは全力で取り組んでいなかっただろうか?」と。
私は千景√の千景は自分としっかり向き合っていて頑張っているように見えましたよ。
自分の「好き」に気付いてまっすぐ突き進んでいった彼女は、燻っていた頃に比べて間違いなく一皮むけていたように感じました。
果歩子√の果歩子も「石の影響でエッチな気分になったのは事実だけど、それだけで遥にエッチなことを迫ったりしない」と言ってくれていましたし、ゆかりのために毎日石を叩き続ける芯の強さも持っています。
一度気付いた遥に対する気持ちは、そう簡単には揺らがない気がするんですよね。
私としては無理に全員の個別√の未来を修正するよりも、リリヤだけに絞った方がいいように思いました。
リリヤの個別√では彼女の「みんなと過ごした記憶」がなくなっていて、他のヒロインと比べて明らかにしこりの残る内容なので、このグランドで救済してほしかったです。
リリヤ一人だけ独自の立ち位置を与えられており、彼女だけが抱く苦悩や葛藤もあったことでしょうし、
遥と出会う前の千景たちとの絡みなど、描いてほしかったシーンもあります。
グランドヒロインとして申し分ない存在だったと思います。
それにほら……
このリリヤの最後のCG、めちゃくちゃ良いと思いませんか?
グランドでリリヤの掘り下げと救済を十分に行って最後にこのCGが出てきたら……私は多分泣きましたね。
あとの気になるところは「全員の真ENDを描こうとしている分、リソースが分散して中身が薄くなっている」と感じた点ですね。
最後のCGを全員分用意してくれていたのはとても良かったですけど、あの場面に辿り着くまでが駆け足すぎて感動が薄れてしまった感があるというか。
尺の都合という難しい問題があるのは事実ですが、この辺りはもう少しなんとかならなかったのかなと思ってしまいましたね。
まあそんな感じで気になる点も述べましたが、グランドに当たるシナリオを用意してくれたことは素直に嬉しかったです。個別√だけで終わりだと物足りなさが残ったと思うので。
最後のEDが個別のセピア調から鮮やかなカラーに変化していたのは、グランド感あって好みでした。
主人公“天瀬遥”の感想
女だらけの天瀬島に突然連れてこられて、お嬢様たちに男を把握させるための男性サンプルとなった本作の主人公。
一昔前のラノベみたいな設定ですが、意外に内容はハーレムハーレムしてなかった印象。
遥のキャラ造形が巻き込まれ系やれやれ主人公ではなかったので、そっちの方向性に持っていかないようにしていた節は見られますね。さすがにそれはもう古いもんね
ゆかりみたいにことあるごとに誘惑してくる女性(痴女)には真摯に対応し、
彼女が「寝起きドッキリフェラ」を仕掛けてきたときにはわりとガチめに怒ったりする真面目系主人公でした。
基本的にクセのない性格でよくいる無個性タイプの主人公ではありますが、
「少し冷静すぎるかな?」とは思いましたね。
男子校にいた男が急に女しかいない環境に放り込まれたら、普通はもっとパニックになるんじゃないかなと。
まあ周りの女性の価値観というか思考がぶっちゃけ異常なので、逆に冷静になれた感はあるかもですがw
総評
『天瀬島は色恋ざかり STARRY GARDEN』は突然お嬢様だらけの天瀬島に連れてこられた天瀬遥が、
世間から浮いた価値観・思考を持つヒロインたちと演劇を頑張り、仲良くなっていくお話でした。
本作はどこか懐かしい、一昔前のエロゲらしい雰囲気が魅力的でしたね。
立ち絵のないキャラがほとんど絡まず、主人公の周りが中心の世界といいますか、
ヒロインとの恋愛を存分に楽しめるエロゲという感じでした。
本作の良かった点としては、千景√の恋愛描写が挙げられます。
遥と千景は庶民の感覚を持っていて、突然お嬢様だらけの環境に放り込まれた同じ境遇なので仲間意識があります。
一緒に過ごしていく過程で惹かれあっていくのが自然であり、「これは好きになるのも無理ないよ」と頷きながらプレイしていました。
また、二人は立場上、公に恋人同士だと宣言せずに1歩引いた付き合い方をするわけですが、それも逆に良い働きをしていましたね。
バレないように隠れてイチャつく背徳感がたまらなかったです。
イチャつき自体もセックスしまくりとかではなく、ほどよい距離感を保っていたのが非常に良きでした。
いやー幸せな気持ちにさせていただきましたね。本当にありがとうございます。
一方で気になる点としては、「控えめなシナリオ・演劇描写の弱さ・システムの粗」が挙げられます。
本作は全体的にシナリオの起伏が控えめなキャラゲーとなっていますので、シナリオ重視の方にはあまりおすすめできません。
特に姫瑠√とゆかり√は天瀬島の秘密にほぼ触れない伏線√となっていて、シナリオ的な意味での退屈さには拍車をかけているので余計ですね。
あと、本作は共通の最後で演劇をやるんですけど千景√の項目でも述べたように、
演劇の具体的な描写については完全に逃げの一手を打っていますので、そこに関しては期待しないほうがいいです。
ただ、過去に演劇をしていた千景がいるので「演劇である必要性」は一応あります。
「一緒に盛り上がられるなら演劇じゃなくてもいいじゃん」と指摘できないところは評価点かなと思います。
システム面に関しては、粗が結構目立ちますね。
- 右クリックの設定を変更できない(メニューを開くで固定)
- キャラのボイスが小さく、聞こえづらい
- 背景が足りていない(部屋の背景のまま料理をするシーン、来客を迎えるシーンなど違和感満載)
- BGMに曲名が付いていない(「BGM 01」はさすがに味気ないかと……)
大きく思ったのはこの4点ですね。
特に致命的だったのは右クリックと背景の2点ですね。
この2つは次の作品をリリースするのであれば、ぜひとも改善してほしい点になります。
『天瀬島は色恋ざかり STARRY GARDEN』は一昔前のエロゲ感があって、懐かしい気分を味わえた作品でしたね。
Liaisonさんのデビュー作、楽しませていただきました。
次の作品が出るのであれば、またプレイさせていただこうと思います!
点数
シナリオ 15
(シナリオは平均程度かも。果歩子√は綺麗にまとまっていた)
キャラ 16
(ヒロインはわりと魅力的。千景と姫瑠が好き)
音楽 17
(音楽は結構良い。BGMが頑張っていた気がします。「01」「14」がお気に入り)
システム及び演出 15
(服装の差分が多いのは○。制服、私服、パジャマ。解像度がフルHDなのは最高。
尺のバランスが少し悪い。リリヤ√が短く、姫瑠√が長く感じた)
全体の完成度 16
(粗は見えるものの、上手くまとめられている)
合計79点です(100点満点中。各項目は20点満点)
商品リンク
おまけ
マスターアップイラスト
発売記念イラスト
応援感謝イラスト
天瀬島は色恋ざかり RPキャンペーン
上記のリポストキャンペーンでなんと、当選してしまいました。
(私がいただいたのはあじ秋刀魚さんの色紙でした)
こういうの初めて当選したのですごく嬉しかったです。
Liaisonさん、本当にありがとうございます(ㅅ*> <)
(大事に飾らせていただいてます)
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