FrontWingさん作「GINKA」の感想になります。
GINKAは2023年10月にFrontWingから発売された全年齢美少女ゲームです。
主人公“青羽流星”の幼馴染の女の子である“銀花”は神隠しに遭って突然姿を消してしまうも、
5年後にその時の姿のまま、流星の前に戻ってくる……というあらすじですね。
※ネタバレ全開ですのでご注意ください。
『GINKA』のネタバレ無しレビューはこちらのサイトに掲載しております。
シナリオの感想

シナリオ評価:B
色々言いたいことはありますが、「思ってたのと違った」というのが率直な感想です。
私は美麗なCGと“おとぎ話のような夏休み”という公式サイトの文言に惹かれ、
「Keyのサマポケのような作品かな?」と思って本作を購入したんですが……いやー全く違いましたねw
伝奇、伝承要素を絡めたダークなシナリオをガッツリ見せられて面食らいました。
登場キャラは呪いに取り憑かれたり呪いそのものになって主人公の流星を襲ってきたりしますし、

流星は生まれつきの病気持ちで永くは生きられない不運を背負っていますし、

流星のことが好きな銀花は彼の死を受け入れられず、自らの恋愛感情を犠牲にして彼を救おうとします。

そう、本作はかなり重いのです。
サマポケみたいなノスタルジックな雰囲気とか、
ちょっと不思議な清涼感ある物語を期待してプレイすると痛い目を見ます(私のように)
思い描いていたものと全く違った作風だったので、ここがまず私としては期待外れなところでした。
「まあ、それでもシナリオが面白ければいいんでない?」と思った方もいるかもしれませんが、
残念ながら本作のシナリオはそんなに面白くないです。
本作のシナリオの概要としては前半と後半の2つに分けられる2部構成となっています。
- 前半
-
幼い姿のままのギンカとの出会い、流星の境遇、ひめ島やカタシロ流しの謎、ギンカの神隠しの真相、ギンカの正体
- 後半
-
神様の命を宿した流星と、呪いに蝕まれた銀花の行く末
前半と後半では上記のものを描いていますが、盛り上がったのはどちらも終盤だけ。
途中は冗長なのでぶっちゃけダレます。
途中で銀花がギンカを斬る衝撃的なシーンもあるわけですが、
これもなんかインパクト重視で入れただけって感じで、あまり意味を感じられなかったので微妙ですし。
最後の最後はかなり綺麗に締めていたのでそこは良かったのですが、
過程があまり面白くなかったので、トータルで評価するとややマイナスと言わざるを得ない内容です。
本作のシナリオ的なポイントは「流星の生存」と「流星を好きな銀花の存続」の両立が不可能な点です。
- 流星が生存→流星に対する銀花の想いは失われ、銀花の想いの具現化である“ギンカ”が現れる
- 流星が死亡→銀花の想いは失われずに済んで“ギンカ”も現れないが、流星は生存できない
このような対立構造となっており、流星と銀花が結ばれないようになっています。
この問題をどう解決するのかが本作のキモとなるわけですね。

(彼らの問題はなかなか厄介なことになっています……)
「ヒロインと恋愛できない美少女ADV」という感じでモヤモヤさせられますが、
こういうのもたまにはありかなと思って、そこ自体にはそんなに不満はなかったです。
やはり問題なのは「面白くない伝奇要素」と「ご褒美の少なさ」かなと思います。
本作は「島の風習、歴史、神様がどういう存在か、祭りはなぜ始まったのか云々かんぬん」
みたいなのを真面目にガッツリ描いてきます。
神様の島には木が生えててそこの洞の中に神様がいる。
初代四ノ宮の巫女が神様に自慢の黒髪を与えて髪が白くなったり、
神様がその子を気に入ってたのにもう来ないことを悟って呪いぶちまけたりみたいな暗ーい話を結構な尺を取って解説するんですよ。
ここで私が言いたいことはこれだけです。
ぶっちゃけ、そんなのどうでもいいんですよ!
私は銀花とギンカの可愛い姿を見たいだけなんですよ!!
流星とちゃんとイチャイチャしてほしいの! 最後のアフター短すぎ!! 全然余韻に浸れまてん!!!

はい、以上が本作をプレイした私の素直な感想です。
企画段階でこの話にするつもりだったのか、ライターさんがやりたかったのかはわかりませんが、
あの「ギンカが鳥居の上に座っているキービジュアル」を見て、こういう方向性の作風であることを予想できた人ってまあ少ないんじゃないかなと。
最後の二人のCGと神様のCGはかなり良くて締め方も綺麗でそこは文句無かったんですけど、
他の部分で気になるところが多かったり、思っていたのと違ったものが出てきた点が残念な作品でした。
主人公“青羽流星”の感想

生まれつき心臓が弱くて、永くは生きられない不運に嘆く主人公。
「病気で早く死ぬ運命」という設定を主人公に持ってくるのは少し意外でしたが、
良くも悪くもそれだけしか特徴がないので、あまり個性は感じられなかった印象。
シナリオの筋書き通りの役割をこなしている感じで、譲れない意志とかそういうのは全然なかったですね。
あと、ギンカの可愛いところを見て悶絶するのがなんかおっさんくさくて微妙でした。
ああいうリアクションは若者って感じがしないので、その辺りはもう少し意識して書いてほしいなと思ったり。
10代の若者はもっと斜に構えてたり、照れ隠しに必死になったりするんじゃないでしょうか。
最近そういう描写の違和感とかが結構気になってくるんですよね。
まあ「若者の描写が云々」とか言っている私もかなりおっさんくさいとは思いますがw
総評
GINKAは流星と銀花の上手くいかない恋を、島の風習などを交えつつ伝奇要素濃い目に描いたお話でした。
「少し不思議なキャラゲーを求めてプレイしたら、ガッツリ伝奇を描いたシナリオゲーが出てきた」といった印象です。
まあ思っていたのと違いましたね。
シナリオゲーとは言いましたが、シナリオゲーと言えるほどシナリオが強いわけでもないので、
どっちつかずな感じになってしまっているような気はしました。
個人的にはもっと銀花の可愛さを押し出した作りにしてほしかったです。
イラストめっちゃ可愛くてCGも綺麗でBGMも良くて雰囲気もよく出ているのに、シナリオだけがダメでした。
Next出して後半見とけよーって期待煽ってきたのにあんまり盛り上がらなくて「……あれ?」ってなりましたねw
シナリオが足を引っ張っているといえる作品と言えるでしょう。
私のネタバレ感想を読んでからプレイを検討する方は少ないと思いますが、
もしいらっしゃるのであれば、本作のシナリオはあまり期待せずに可愛い銀花とギンカを眺めてそれっぽい雰囲気を楽しむと良いと思います。

(このリンになって楽しむということですw)
まあ伝奇要素を求めてプレイするにしても、多分シンセミアとかの方が楽しめそうな気はしますが……w
他の作品と比較しだすとキリがないので、これ以上は止めておきますけども。
あと、今回は主観的な話ばかりであまり参考にならない感想だったかもしれません。申し訳ないです。
GINKAの感想はこの辺りで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

(ほんとCGは綺麗だなぁ……w)
点数
シナリオ 13
(伝奇要素が濃すぎたかなと。あまり面白くなかったのもマイナス)
キャラ 18
(銀花とギンカはすごく可愛い。けど可愛さを引き出しきれていないような印象も受けます)
音楽 17
(結構良かったです。雰囲気出せていたかなと)
システム及び演出 17
(システム面は悪くないです。鳥居のギンカがいなくなったり演出も凝っていました。
ただ、解像度がHDまでなのは不満でした)
全体の完成度 14
(ギンカのアップ立ち絵がなんかボヤけていた?のが気になりましたが、そこそこの完成度だったかなと)
合計79点です(100点満点中。各項目は20点満点)

商品リンク
おまけ
発売記念イラスト
⳹ 💙 本 日 発 売 💙 ⳼
— GINKA公式 (@ginka_fw) October 26, 2023
『#GINKA』
ゆさのさん(@yusano)から
発売記念の描き下ろしイラスト到着!✨✨
「帰ろう、君がいる夏へ──」
おだやかに時間の流れる小さな島で、
“神隠し”から帰ってきた幼なじみの少女と過ごす、
おとぎ話のような夏休み。… pic.twitter.com/nhWSK2TEE0
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