『魔法少女ノ魔女裁判』の感想になります。
『魔法少女ノ魔女裁判』は2025年7月にAcaciaから発売されたノベルゲームです。
主人公“桜羽エマ”が孤島の牢屋敷で12人の魔法を持つ少女たちと過ごし、発生する殺人事件を魔女裁判で解決していく物語。
※ネタバレ全開ですのでご注意ください。
『魔法少女ノ魔女裁判』ネタバレ無しレビュー(姉妹サイトヘ飛びます)
シナリオの感想
1話
ノア殺人事件発生
魔女裁判の結果、レイアが犯行を認めて処刑された
ノア殺害事件は普通に驚いたし、犯人も全くわからなかった……w
魔女裁判進行中に犯行時刻やアリバイの有無などが明らかになっていき、徐々に犯人に近づいていく感じがすごくワクワクしましたね。
ただ、ミリアが裁判中にポケットにずっとリンゴを忍ばせていたと想像すると笑えましたが。

2話
ミリア殺人事件発生
魔女裁判の結果、アンアンが犯行を認めて処刑された
スマホの話が出てきてアンアン犯人疑惑が浮上し、アンアンが饒舌になって畳み掛けてくるところからめっちゃ面白くて夢中でプレイしてました。

懲罰房の鍵の件を巡って、ゴクチョーまで証言に参加したのも面白かったですね。やはり、こういうイレギュラーが物語を盛り上げるのだ。
1話と比べて、悲しい事件という印象だった(アンアンは擁護できないが)。ミリア、めちゃくちゃ良い子じゃないですか……。
実は入れ替わりが解消されていて、ミリアもおじさんも普通に良い関係だったことが明かされたので、読後感は良かったかも。
- 看守が鍵を渡したのは違和感。機械ではないとはいっても意志薄弱な存在なので(洗脳されているようだし)、納得して渡すとは考えにくい
- 囚人の持つスマホだが、囚人側でデータを消せるようなシステムには普通なっていないはず
- アンアンはミリアの中身がエマだと思ったから殺害したのに、裁判中にエマをエマとして認識しているような振る舞いが見られる
3話
ハンナ殺人事件発生
魔女裁判の結果、シェリーが犯行を認めて処刑された
もうなんか見ていてシンプルに辛いお話だった。ハンナとシェリーの友情がめっちゃ尊い。
炎に包まれて死んでいくシェリーのCGは胸が詰まる思いで眺めていました。ほんと開発の方は良い性格をしていますね……w
二人が仲睦まじくほうきに乗って飛んでいるCGがあったので、「犯人はシェリーではないか?」とうっすら予想していたらそのまさかでした。

何気に初めて予想が当たりましたね。まあ予想ですらない勘のようなものですが、アンアンが親密だったミリアを殺害していた件を鑑みると、ありえそうだなと思ったところはあります。
- 看守が全ての間に鍵を掛けたわけだから、ハンナの死体は映像を確認すると映っていた可能性が高い
- ゴクチョーが部屋の内部の画像だけ印刷してきたのは、それをプレイヤーに悟らせないため?
4話
アリサ殺人事件発生
魔女裁判の結果、アリサの自殺という結論になりかけるも、エマが過失致死させた疑惑が浮上。投票の結果、エマが魔女とされてしまう。
しかし、処刑台が上がってくると同時にナノカの死体がエマたちの前に現れる。「これは殺人事件だ」ということで、エマは魔女裁判の開廷を請求。彼女はなんとか一命をとりとめる。
「魔女裁判→新たな魔女裁判」へと繋がる流れは勢いがあって面白かった。
結局自死を選ぶアリサの優しさがこれまた胸に詰まる。
言葉遣いの荒い不良少女が実は一番優しい性格してるのはとても王道で良き(シャワー室でエマを心配するCGめっちゃ好き)。

エマが冤罪をかけられそうになるの、まさにこれこそが「魔女裁判」という感じで面白かった。
5話
ナノカ殺人事件発生
魔女裁判の結果、メルルが犯行を認め、牢屋敷を運営する側の人物(黒幕)であることが発覚
ついに明らかになった黒幕。裁判でエマに助言をしていたのも、上位存在であることがわかった今となっては頷けるところがありますね。
後で何気なくマップの監房をもう一度見ていると、メルルだけ一人部屋だった。これには思わず笑ってしまった。
メルルはバッドエンドでシェリーの手紙を躊躇なく燃やしたり、エマの名前をきちんと覚えていないなど、口では友達と言いながらなんとも思っていない行動に邪悪さを感じた。同じ人間ではない魔女たる振る舞いといえよう。
大魔女こと月代ユキに取り憑かれていたエマが意識の乗っ取り?を受け、人間を滅ぼすべく飛び去っていくエンドはあまり後味の良いものとはいえなかった。

といっても、このゲームはここで終わらないのです……。
第2章 第1話
死に戻りの魔法を持っていた二階堂ヒロが殺された初日に戻り、ヒロ視点で物語が紡がれていく。

まさかの展開。まあヒロは開幕で死んでいたので何かあるとは思っていましたが、こういう形で繋がっていくとは……。にしてもEDの巻き戻しは笑いました。最近よく見る演出ですね。
何気に最初のバッドエンドの選択肢を選ぶと、ナノカが魔女化?していてめっちゃ驚いた。バッドもいろんなバリエーションがあって面白いですね。まあ正直あんまり見たくはないんですけどw
第2章はノアの出番が多くて嬉しい。最初ですぐに殺されてしまったので、気に入っていた方はご満悦ではないかと。隠し部屋の存在が明らかになったりして、第1章とは違う展開にもワクワクします。
その後——
メルル殺人事件発生
魔女裁判の結果、マーゴが犯行を認めて処刑された
メルルが殺害されたのは「ええええええっっっ!?」ってマジで声出して驚きましたw
いやーほんとやってくれますね……。まあココがトレデキムの話をしていたから予想は十分可能だったかもですが、それにしても衝撃。
マーゴのメルル殺害動機に関してはやや読み取りづらいというか、わかりにくいものであったので、ここは事件の必然性というよりも、2周目の1発目の殺人事件ということで、インパクト重視でこの内容になったと思われます。
ただ、下記のような疑問もありまして。
- ヒロの身体を踏んだらヒロの服にマーゴの靴跡が残っていてもおかしくない
- 事件の解決を手っ取り早くするのであれば、マーゴの指紋の検証まで行うのが流れとしては自然(ヒロのはったりなので、そこまでいくとヒロは困りますが……w)。
これらは制作上の都合でスルーされた印象ですが、まあ盛り上がっていましたし楽しめたので、私としては別にいいかと。私は「面白ければそれでいい」というスタンスなので、多少の不自然な流れは目を瞑ります。
あと地味にヒロが話してる途中でエマが割り込んでくるのは笑いました。

「それはおかしいよ!」って言われるの、こんなにイラッとくるのかというのを身をもって体験できて面白かった。
第2章 第2話
ヒロはエマを殺害するために計画を練って実行しようとするも——
ココ殺人事件発生
魔女裁判の結果、ナノカが犯行を認めて処刑された
またなんともやるせないエピソードを見せてきやがって……。ほんとどうしようもないですねこのゲーム(褒め言葉)。
ナノカが凶行に走った最後の一押しは、ココが看守を殺そうと仄めかしたあの発言ですね。
姉を殺されるかもしれないと思ったナノカは気が気ではなかったでしょう。犯行の動機として頷けるものでした。
1周目で看守がナノカを見逃していた描写であったり、失くしたリボンであったり、
細かい伏線もしっかり回収されていましたね。ナノカ周りの描写はなかなか丁寧な感じで良かったと思いました。
どんなに心優しい人間でも、悪い偶然が重なると凶行に走ってしまう……。
そんなメッセージも込められていたような、考えさせられるエピソードだったと思います。
そして2周目ならではの、1周目で早期に退場したキャラの活躍も見逃せない。
「必ず犯人を突き止めろ」という強い意志を見せるアンアンがとても良かったですね。

1周目では身勝手な理由で殺人に走ってしまった、そんな彼女の正義感に燃える姿はバチクソ熱い。
違う可能性世界で、隠れていたキャラの魅力に触れられる。これがノベルゲームの醍醐味よ!
第2章 第3話
アンアン殺人事件発生
魔女裁判の結果、ノアが犯行を認めて処刑された
褒めたそばから死んじゃったよ!w
魔女裁判の前半は当事者であるヒロとエマは事故にするように立ち回っていたわけですが、実は裏があって真犯人がいたというのはなんとも衝撃的でした。
今回の事件はノアの感情的な犯行でしかなかった感じで、ちょっと擁護できないですね。

アンアンもノアの本当の絵を好きだと言ってくれていたのに……あまりにも酷いですよ。
ノアは癒し枠だと思っていたのに犯行に至ってしまって、個人的には残念に思いました。
ヒロとノアの友情が最後に示されたのは救いでしたけど……あまり良い読後感ではなかったかなという感じです。
第2章 第4話
エマ&レイア殺人事件発生
魔女裁判の結果、ハンナが犯行を認め、処刑途中に割り込んだシェリーと共に命を失った
もうなんかシンプルに辛いお話でした。
1章の3話を彷彿とさせるような、エマ、ハンナ、シェリーの3人の友情がとにかく胸にくる……。
「エマを殺すつもりはなかった」とハンナが叫んでいたとき、私は思わず泣いてしまいましたね。本当にそんなつもりはなかったんだろうなって、これまでのエマとのやり取りを見ていて、それが痛いほど伝わってきたので。
処刑途中に割り込んで一緒に逝ってくれたシェリーの、ハンナへの強い想いも胸に刺さりましたし。なんというか、ある意味見ていて一番辛くてやるせない気持ちになるシナリオだったかもしれません。
「あなたでは支えきれなかったんですね。——その罪の十字架は」というシェリーの言葉が刺さる、ハンナの心の弱さが浮き彫りになってしまったエピソードでした。

大切な友人がいたんだから、そちらにもっと目を向けて欲しかったと思いましたね……。
第2章 第5話
再び死に戻ったヒロは大魔女を顕現させるため、集められた少女13人全員を魔女化させる大立ち回りに打って出る。
みんなの前でトラウマを抉っていく公開処刑の始まりだぁ!w
でもこれ実際に始まったら結構ダレそうだなと少し心配していたのですが、それは完全に杞憂でしたね。
流れがよく考えられていて、ダレさせずに描き切ったのすごいです。
ミリアの記憶シャッフルでヒロが死んだ世界線の情報を共有するのは感心しました(まあだいぶ力技で、正直ご都合主義だとも思いましたけどw)。
あとこのパートで面白かったのはシェリーの魔女化。彼女は魔女化していなかったので、シンプルにどうするんだろう?と気になっていました。
それが自分で精神を操作して魔女化させるってさぁ……どんな離れ業ですかw
やはりシェリーは本作の変人揃いの少女の中でも、ぶっちぎりでイカれていると改めて思いました笑

最終章
大魔女を説き伏せて、人類の未来を守るお話。
最後めっちゃ綺麗に締めてくれて感動しました。エマとヒロの和解で終わるなんて……あまりにもわかりすぎているENDでした。
エンディングもその後のみんなが描かれていて言うこと無しですね。こういうエンディング大好きマンなので、しみじみと浸りながら眺めてましたよ。
大魔女の裁判パートではココの魔法でプレイヤーを裁判に参加させてくるのが面白かったです。

ココの魔法もなかなかチート級の性能でビビりますね。『まのさば』は30万本以上売れているみたいなので、30万人分の視点を俯瞰して見れるな。もう神じゃん(
あとココは舌ったらずな話し方と「キモキモキモ!」の言い方が面白くて好きでした。
まあココの感想はそれぐらいにして。
最後に出てきた大魔女(月代ユキ)は最終的に矛を収めてくれてそれは良かったのですが、ユキが人間にイジメられていた件、これが完全にスルーされていたのが少しだけ気になりました。
エマとヒロは仲良くしてくれたみたいだけど、大勢にイジメられていたのに人間を滅ぼしたくないという考えになるのは、なんか微妙に納得できない感じもあったというか。
まあエマとヒロ以外はユキにとってはどうでもいいということなのかもしれないですが、メタ的に考えると、ユキがイジメられていた事実は「エマではなく、実はユキでした」というギミックのためだけに用意されたような、そんな印象は拭えないですね。
ユキの「人間を滅ぼしたくない」という気持ちと、「みんなにイジメられていた事実」。
この二つが微妙に噛み合っていないのが、なんかモヤモヤしますね。
そんな風に思ってしまったのが最終章での唯一の欠点というか、釈然としない点でした。
「ユキはみんなに慕われていて、学校での生活はかけがえのないものだった。だから、人間は滅ぼしたくない」とかなら、1本筋が通っていて大きく納得できたんですけども。
まあトータルで面白かったから、結果オーライではありますけどね!

総評
『魔法少女ノ魔女裁判』は孤島の牢屋敷に連れてこられた、魔法を持つ13人の少女たちが殺し合いながらも魔女に隠された真実へたどり着くお話でした。
率直に言ってめちゃくちゃ面白かったです。
「少女たちの間で殺人事件が起きて、犯人を見つける魔女裁判を行う」という明らかに色物っぽい雰囲気を醸し出していたにもかかわらず、描かれたストーリーはかなり王道的で感動できる内容だったので、これは嬉しい誤算でしたね。
13人の少女たちの魔法も、全てが無駄なくシナリオに活かされていたのもお見事でした。
ココの千里眼が黒幕に近づく重要な魔法となっていたり、「血液が赤い蝶になる」というノアの魔法が忘れた頃に事件のギミックとして機能していたり、思わずハッとさせられる魔法の使い方、その構成の巧みさには驚くばかりでしたね。
最初から最後まで飽きさせない展開の連続で止め時が全く見つからず、開始してからクリアまでの6日間どっぷりのめり込んでしまいました。
驚きとワクワクを常に提供してくれていたので、とにかく楽しくプレイできたんですよね。エンターテインメント性の極めて高い、凄まじい完成度を誇る作品だったと思います。
こういう体験ができるからノベルゲームは止められない。ノベルゲームの魅力を再確認できた、最高の作品でしたね。
次回作『配信少女ノ裏垢迷宮』も必ずプレイしようと思います。
Acacia様、クラウドファンディングで支援いただいた皆様、素敵な作品をありがとうございました!
点数
| 魔法少女ノ魔女裁判 | |
|---|---|
| シナリオ | 20 |
| キャラ | 20 |
| 音楽 | 20 |
| システム・演出 | 16 |
| 全体の完成度 | 20 |
| 合計 96点 (各項目は20点満点) | |

おまけ
発売記念イラスト




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